POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

紙ジャケ8cm CDシングル特集。ギザカワユス

 以前取り上げた「消えゆくメディア8cm CDシングル」のエントリに様々な反響をいただいたので、その続編を書こうと思っていたら、「8cm CDシングル」の世界にはすでに多くの研究者の方々が! 実際、専門の情報サイトもあるし、8cm CD曲のみを持ち寄る闇鍋みたいなDJイベントもあったりするらしい。「シングルのみのアルバム未収録曲」というと、アナログ・レコード時代にカップリングされた、未発表曲、アルタネイト・ヴァージョンのほうが歴史が古いのでレアだと思われているが、実はCD化に際してボーナス・トラックとして収録されることも多く、現在はかなりの曲がアルバムで聴けるようになった。逆にCD時代になってアルバムと並行してリリースされたCDシングルの未発表曲ほうが、ボートラとして再利用される機会もなく、幻のヴァージョンとして闇にさまよう運命を背負っている。そんな理由もあって、メディアとして消えつつある「CDシングル」の再評価へとつながっているのだな。小生も続編用にいろいろレコード棚をまさぐっていたものの、専門家にはとても及ばないので、今回は切り口を変えて「紙ジャケCDシングル」を特集してみた。
 「紙ジャケCDシングル」と言えば、江崎グリコ「タイムスリップ・グリコ」のオマケとして登場してコレクター市場を開拓。ブルボンなどの他メーカーも参入して類似商品を出したりと、一時は活況を呈していたジャンルである。「タイムスリップ・グリコ」の派生商品として生まれたプロフィールでわかると思うが、いわばアナログ・シングルを模したフィギュアのようなもの。ちまちまとしたミニ・スケール再現を好むフィギュア・マニアには、「紙ジャケCDシングル」はたまらなくフェティッシュなものらしい。それに玄人筋に言わせれば、ただジャケットを縮小しただけのグリコより、紙のレーベル・スリーブまで再現している某社の商品のほうがよいんだとか。小生はフィギュアのたぐいにまったく興味がなく、携帯のストラップなどをもらっても人にあげてしまうほど。どうも私、紙やデータへの偏愛のようには、立体物への愛着がないのだな。アルバムの紙ジャケ復刻も、実は鬱陶しくてしょうがない。棚に並べる時もサイズがあわないし、保存用の袋の糊の部分が紙ジャケにひっつかないかと、いつも冷や冷やする。昔は「紙ジャケと言えば高級感がある」と言われていたが、今は供給のための生産ラインも完備されていて、実はある枚数以上作るとジュエル・ケースよりも安く上がるんだとか。まあ、いつのまにかレコード会社のコスト対策に巻き込まれてしまっているのだな、消費者の幻想も。
 とはいえ、短冊形のCDシングルのようなレギュラー商品ではなく、商品としてはほとんど流通していない「紙ジャケCDシングル」だからこそ、雑誌のオマケやフリー・サンプラーなどの冒険的な企画に使われることが多いよう。なんとなしにもらったものを放り込んでいた箱を今回整理してみたら、それなりに面白いものがたくさんあった。有名なのは、コーネリアスが毎回アルバム予約特典で付けている「nova susicha」シリーズだろう。イタリアのクランプスから出たジョン・ケージの作品集のジャケットを模したもので、名義はコーン・エリアス。毎回、コーネリアスの未発表曲を収録しており、これまでに通算8枚が発表されている。今月リリースされるニュー・アルバムにも付いているそうなので、近日中に9、10が発表されるということか。
 と言うわけで、「紙ジャケCDシングル」についてはそれほど熱い思い入れもないので、いつもの蘊蓄もなく、とりあえずさっさと紹介してみる。



コーン・エリアス「E 1/2 Live at Reading Festival」(ポリスター

記念すべき「nova susicha」シリーズの第一弾。収録曲は1曲で、小山田、堀江博久(ニール&イライザ)、大橋伸行(ブリッジ)、荒木優子(ex.上田ケンヂ)の4人のセッションによるパンク風のインストをライヴ・ヴァージョンで収録。オーディエンス録音で音は荒々しく、パンク・バンドのブートレグを聴いているような気分。

コーン・エリアス「preview of point for Tower」(ポリスター
コーン・エリアス「preview of point for HMV」(ポリスター

前者はタワーレコード、後者はHMVの『point』の予約特典だったもの。こうした新録音源を特典としてアーティストが提供するケースがままあるのだが、初回ロット数が一定の枚数をクリアしているなどの条件を満たす必要があるために、個人経営の店などでは実現性は難しく、全国店分をまとめ買いする大手ブランドに限られる。内容は新作アルバムからの予告編的なカットアップなのだが、これ自体が面白いソニック・コラージュ作品に。タワー版はテレビのCMでおなじみ「タワー・レコーヅ!」の声、HMV版にも店内放送などで使われているとおぼしき「HMV」という声の、それぞれジングルを素材として使っている。鳥の声やゲップ音、プッシュホン電話の電子音などが使われた曲の土台は同じだが、ジングル以外にも、前者にはスローガンの「ノー・ミュージック・ノー・ライフ」が出てきたり、後者にはHMV名物のニッパー君を連想させる犬の鳴き声が入ってたりと微妙な違いがある。ホントにビミョーだけど(笑)。両方ともエンハンストCDとして、『point』のCM映像も併せて収録。

コーン・エリアス「cm2 HMV」(ワーナーミュージック・ジャパン
コーン・エリアス「cm2 Tower」(ワーナーミュージック・ジャパン
コーン・エリアス「cm2 Virgin」(ワーナーミュージック・ジャパン

コーネリアスのリミックス作品を集めたコンピ『CM2』用として付けられた、HMVタワーレコードヴァージンメガストアそれぞれの予約特典。92年にコーネリアスが正式にワーナーに移籍したため、ここからワーナーが発売元になっている。この時はヴァージンメガが初参戦したのだが、近年店舗数が減りつつあるヴァージンは台所事情も厳しいようで、今度の新作には加わっていない。それぞれ3曲入り。コーネリアスの未発表曲「The Star-Spangeled-Gayo」のみ共通で、残りの2曲づつは、雑誌『サウンド&レコーディング・マガジン』が主催したリミックス・コンテストの応募作品のうち、入選作を集めた『PM』に入らなかったものを抜粋している。先日、ニュー・シングル「music」に併録されて初リリースされた「The Star-Spangled-Gayo」は、アコースティック・ギターの演奏による、アメリカ国家「星条旗よ永遠なれ」(Star-Spangled-Banner)と日本の国家「君が代」のメロディーを交互につないだもの。NHK-FM小山田圭吾の中目黒ラジオ」制作中に、NHKの放送終了時にかかる「君が代」から連想してできた曲だそうで、リュク・フェラーリが「運命」(ベートーヴェン)と「火の鳥」(ストラヴィンスキー)のテープを交互につないで作ったギャグみたいな曲「ストラトーヴェン」がおそらく構成のヒントになっている。『PM』落選作のほうは、『point』の曲のパーツがネットでダウンロードできるようになっていて、それをアマチュアの音楽家が各々ミックスしたもの。エレクトロニカ風、アンビエント風、暴力温泉芸者風のノイズ路線、ファンタスティック・エクスプロージェン風のテレビコラージュなど多彩。個人的には「cm2 HMV」収録の、80年代クリムゾン風のdpgbgbdp「boiufuioboiufuioboiufuibpointoniopointniopointniop」がよかった。小生の妄想に過ぎなかったフリッパーズ・ギター「フリッパートロニクス起源説」がこんなところで実践されるとは! ちなみに本作もエンハンストCDになっており、共通で「from Nakameguro to Everywhere」という、満開の桜が咲く路地を小山田氏が何度も横切る、アンビエント風音楽を付けた環境映像が収録されている。

コーン・エリアス「pm」(フェリシティ)

『PM』の発売元だった、元ポリスターのトラットリアのA&R、S氏が独立して作ったインディー・レーベル、フェリシティから。こちらも1曲目は共通の「The Star-Spangled-Gayo」で、残り2曲が『PM』未収録ミックス。ボアダムズのレーベル“ショック・シティ”を擁する同社だけに、歪み系+位相系エフェクトによる暴力的コラージュ「理にかなう支離滅裂な言葉…撤回?? VERSION2.4」など、ほとんどコーネリアスの原型をとどめていない。

コーン・エリアス「fivepointone」(フェリシティ)

これも『PM』未収録ミックスから? こちらは2曲入りでスギモトトモユキ「Point Card」、TAKASHI TSUZUKI「Search」と、ともにエレクトロニカ風に再構成したもので、リミックスというより楽曲志向が強く、かなり音はマジメ。

コーネリアス『MOON WALK Radio Edit』(ポリスター

『69/96』収録のハードロック路線の同曲は、200円という低価格でカセットのみでシングルカット。「オリコンのカセットチャートで1位を取る」と宣言し、見事、演歌曲でひしめくカセットチャートで堂々の1位を記録した。これはその時、マスコミのみに配られた同曲の8cm CDシングルで、これのみ紙ジャケではなくプラケースに入ったもの。イントロにコラージュが入ったラジオ・エディット・ヴァージョンが収録されている。

コーネリアス「POINT OF VIEW POINT」(ポリスター
コーネリアスDROP」(ポリスター

ユニクロ・ブームや吉野屋の牛丼180円(懐かし…)、マクドナルドのハンバーガーも120円という世間のデフレブームに押され、ワーナーが初めて映画DVDを2500円でリリースしたのがこの年。カルチャー界もデフレの波を受けて、コーネリアスも『point』からの先行シングルを、お求めやすい1曲500円でリリース。チャートでも健闘した。拙者はこの時、週刊誌で「カルチャー界デフレブーム」という特集を組んでポリスターに取材に行ったのだが、カップリング曲をなくして低価格化したとはいえ、流通コストは同じ。コーネリアスクラスの生産枚数だとほとんど赤字で、基本的にプロモーション費を回した話題作りとのことであった。

IZUMI SAKAI + YASUHARU KONISHI「CAN'T TAKE MY EYES OFF YOU」(B-Gram)

ZARDのベスト盤の初回分にインサートされていた非売品CDシングルで、名曲「君の瞳に恋してる」をピチカート・ファイヴ小西康陽が編曲し、ZARD坂井泉水が歌ったというもの。名義は2人の連名になっているが、cobaスペシャル・サンクスでクレジットされており、ジャケットのイラストの隅にも載っている。後にアナログ12インチとして市販もされた。

四人囃子「拳法混乱」(ディスクユニオン

『NEO-N』期の唯一のアルバム未収録曲で、ジャッキー・チェンの映画『酔拳ドランク・モンキー』の日本上映版の主題歌として使われたシングル。四人囃子の全アルバム紙ジャケ再発の時に「全枚購入特典」として、ディスクユニオンのみで初CD化された。ディスクユニオンも大型外資系に負けぬ独自企画をやることがあり、以前には、ポリドールから復活したP-modelP-model』リリースの際に、「美術館で会った人だろ」ほかのデモ・ヴァージョンを予約特典として独自にCD化したこともあった。

ショコラ「"Chocolat á lamode"Special Sampler」(NeoSITE)

人気モデルだったショコラのファースト・アルバムの発売前に店頭で無料配布されたもの。当時、彼女がCM出演していたロッテとのタイアップによるもので、見開きジャケットに8cm CDと「ミントブルー」というガムが入っている(当時のままなので、開けるのが怖い……)。ショコラ本人の曲解説が声で聞けるほか、「ミントブルー」のCMで使われたボサノヴァ曲「Blue mint blue」のテレビ・サイズはこれのみに収録。3曲目は、カジ・ヒデキ、ニール&イライザがプロデュースした『Chocolat á lamode』からのカットアップ構成によるモンタージュ

「CUT-UP! TRATTORIA CUT-UP HIBIKI TOKIWA」(ポリスター

デザイナー兼DJの常盤響氏が、コーネリアス率いるトラットリア・レーベルの音源を使ってコラージュした20分に及ぶ長尺シングル。ジャケットのイラストも本人。名盤「ライノ・サンプラー」に触発されて始めた常盤氏のミックスCDは業界内にもファンが多く、結婚披露宴の時に渋谷インクで配られた引き出物CDは、小西康陽氏が気に入ってピチカート・ファイヴのヨーロッパ・ツアーの幕間音楽として使われたこともある。当時の最新作だったコーネリアスファンタズマ』ほか、カジ・ヒデキ、カヒミ・カリィや、フリー・デザイン、ルイ・フィリップなどのライセンス音源も縦横無尽にカット&ペースト。ローランドのハードディスク・レコーダーによるコラージュは、リング・モジュレーターやフィルターなどでモディファイしたもので、DJのミックスCDというより完全な音響作品という風情。一部のショップでこっそり発売された、砂原良徳とのカップリングCDなどと同じく、非合法な音源も素材として出てくるもので、今後も一般発売は難しいだろう。でありながら業界ファンも多いため、ほかにもテイ・トウワの同様のコラージュCDが業界配布サンプルとして作られていたりするのだ。

ボアダムズ「Super roots 2」(WEAジャパン)

市販されている『Super roots』の続編として作られた、5曲入りの非売品CDシングル。スティーヴ・ライヒ「クラッピング」みたいな「Sexy Boredoms」、チープな電子音とトランペットによる掛け合いの「Magic Milk」、まるでキャプテン・ビーフハート風の「White Plastic See-Thru Finger」など、当時まだ轟音路線だったオリジナル作品よりも可愛いトイポップサウンドに。

カジ・ヒデキ「HIDEKI KAJI SAMPLER」(トラットリア)
カジ・ヒデキ「HIDEKI KAJI SAMPLER VOL.2」(トラットリア)

ともにソロ・デビュー時に店頭で無料配布されたもの。前者は広末涼子が出ていたNTTドコモのCMで使われた、最初のシングル「マスカットEP」の予告編として作られたもので、同曲のデモ・ヴァージョンとCMサイズに、キューピーのCM曲「君のハートのナチュラル」、ソニーCM「スティーヴ・マーティンと踊る猿」それぞれの本人歌唱によるデモを収録と、すべて未発表曲という大盤振る舞い。「明星一平ちゃん」のCMに出演したりと、カジ氏が当時、メジャー・シーンで活躍していたことを思い出す。後者はアルバム『ミニ・スカート』の告知CDで、琴の調べに乗せて新春の挨拶をする「カジ・ヒデキからの挨拶」という前口上と、アルバムからのダイジェスト「ミニ・スカート予告編」を収録。

スクーデリア・エレクトロ「FREE SAMPLE」(ポリスター

スパイラル・ライフ石田ショーキチ(小吉)と、元YMOのエンジニアだった寺田康彦、吉澤瑛師が結成したレコーディング・ユニット。ジャケットはコダックのフィルムケースを模している。本作は96年のファーストのプロモーションとして作られたものだが、アルバム未収録のヒューマン・リーグのカヴァー「愛の残り火」を、石田、寺田それぞれがリミックスしたというもの。

ディーコン・ブルー「FOUR BACHARACH & DAVID SONGS」

小ささを極める日本の携帯電話に比べて、標準的に体の大きい欧米人の携帯は、ボタンの押しやすい大きめのものが好まれるとか。映画館のバケツみたいなポップコーンとか、ゲーム機「X-box」の筐体を見て、つくづく国民性の違いを感じるが、日本発で生まれたチマチマとした「8cm CDシングル」も、活況を呈していた日本経済のように、海外進出を果たしていた。これはプリファブ・スプラウトと人気を二分していた英国のスティーリー・ダン・フォロアー、ディーコン・ブルーがバカラック曲をカヴァーした4曲入りCDシングル。「恋よ、さようなら」「ルック・オブ・ラブ」「アー・ユー・ゼア」「メッセージ・トゥ・マイケル」4曲を取り上げているが、アレンジも至ってシンプル。アナログ12インチしか流通しなかった日本では、2枚組ベスト『ラス・ヴェガス』のしっぽのボーナス・トラックに収録されている。

ヘップバーンズ「Champagne Reception」(radio knartoum)

チェリーレッド時代に大ファンになり、小生はシングルからフォノシートまで集めまくっている、こちらもイギリスのスティーリー・ダン・フォロアー的存在。これは8cm CDシングルのみという珍奇なレーベル「radio knartoum」からの9曲入りのミニ・アルバム。「Bastinade」では打ち込みでモリコーネサウンドをやってみたり、スカ風の「Jet Age International」など、いつものアルバムよりお遊び気分みたい。同レーベルはほか、スペインのル・マン立花ハジメのカヴァーで知られるクラブフット・オーケストラ、ルイ・フィリップ、シナモンなどを紹介していた。

シーシェルズ「sunshine eyes e.p.」(Marsh-Marigold)

スウェーディッシュ・ポップブームのころに登場した、エッグストーン、カーディガンズのフォロアー組の一つ。レイ・ワンダーやモーペッツなどのXTCフォロアー組のシンパだった小生には、彼らの繊細さはあまり受け付けなかったが、こういう可愛い形態でアルバムを作っていたのも彼ららしい。5曲入りで、ほとんど一発録りのシンプルなネオアコサウンド

ピープル・ライク・アス「Guide To Broadcasting」(STAALPLAAT)
「THE SOUND OF MUSIC」(STAALPLAAT)

前者は、悪名高きオランダはアムステルダムのコラージュ集団。ストック・ハウゼン&ウォークマンの弟分的な存在で、カントリーやノイズ、テレビ音声のカットアップなど、非合法な素材をコラージュしたオモロイCDをたくさん出している。本作は8cmシングルで出た単独作品で、いつものように『禁断の惑星』のSEや、古いSP盤、アニメの音楽、マーチング・バンドなどをコラージュ。後者は同レーベルから出た、ピープル・ライク・アスや、ケルティックな英国の老舗バンド、ネガティヴランドなどの音を収めたコンピ。収録組の一人であるタイムズ・アップというグループが、98年のアルス・エレクトロニカのために制作したものだとか。5曲入り。どの曲も笑えてなおかつ可愛い。

ディス・ヒート「nealth and efficiency」(these)

チャールズ・ヘイワードが在籍していたイギリスのジャズ・パンク・グループ。最近BOXも出ており、デヴィッド・カニンガム(フライング・リザーズ)のピアノ・レーベルから出ていた本作もリマスター盤で手にはいるが、最初のCD化は可愛い8cm CDシングルだった。ライナーノーツは四つ折りで入っている。表題曲1曲のみ収録。

フェリックス・クビン「時差ぼけディスコ」(A-MUSIK)

ドイツのトイポップ系アーティストで、アルバムはどれもペリキン風の楽しい打ち込みものばかり。本作は8cm CDシングルでリリースされた6曲入りのミニ・アルバムで、「電話攻撃」「超臣虫アタック」「お母ちゃんへ」など収録曲まですべて日本語。しかも手書き文字。来日したこともある。

ジェイムス・チャンス「Christmas with Satan」(Tiger Style)

コントーションズのジェイムズ・チャンスの最初のCD BOX化が告知された時に、前年の暮れに予告編としてプレ・リリースされた、クリスマス仕様のCDシングル。『OFF WHITE』から表題曲と、『Soul Exocism』から「The Devil Made Me Do It」の2曲をカップリング収録している。ヴァージョンはアルバムと同じ。

XTC「The Loving」(Virgin)

ヴァージンは早くから8cm CDシングル市場に参入したレーベルで、ほかXTC「センシズ・ワーキング・オーヴァータイム」やジャパン、スチュワート&ガスキンなども出している。本作は『オレンジズ&レモンズ』からのカットで、コリン作によるセルフ・プロデュースのジャズ曲「The world is full of angry young men」(アルバム未収録)を併録している。

インガ・フンペ「Something Stupid」(Warner Bros.

ドイツの女性姉妹、フンペ・フンペの妹のほう。日本と同じCD先進国だったドイツらしく、彼女らのシングルでCD化されたものは多いが、本作はセカンドからのカットで、これはフランス盤。アンディ・リチャードがプロデュースした表題曲の、7インチ・ヴァージョン、アダム&イヴによるハウス・ミックスを収録。パートナーのトーマス・フェルマンが書いた「moon」という未発表曲も。

ヤン富田「YANN TOMITA'S TSUNAMI SOUND CONSTRUCTION」(アスペクト
ヤン冨田「YANN TOMITA'S NEW WORLD OF MODERN SCIENCE」(アスペクト

これは番外編。拙著『電子音楽 in the (lost)world』のCD店流通分の初回盤に封入特典としてインサートされていた、ヤン富田氏による8cmのCD+DVD(非売品)。前者は雑誌『Relax』の「ヤン富田特集」号に付録として付いていたフォノシート音源の初CD化。「SURF REPORT PART 1」「同2」の2曲で、ハワイで現地の女の子をゲストに呼び、バイオ・フィードバック装置を着けて彼女から取り出した脳波データを音源にして、サージ・モジュラーなどの装置を使ってモディファイしたもの。後者は98、99年に行われた個展「ヤン富田・EXHIBITION」で公開された作品を収めた私家版DVDから、拙著のために制作していただいたダイジェスト版で、個展の模様を収めたクリップと、映像も自作によるオリジナル作品「現代科学の新たなる世界 電子変調されたペリー・コモの「私の好きな歌」」をフルサイズで収録。ちなみに、ペリー・コモの楽曲を電子変調したこの曲をリリースするに当たり、ちゃんとペリー・コモのエージェントにも了解を取って使用料も払ったのだ(笑)。