POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

Twitter始めました。笑わば笑え(笑)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)



 表題の通り。Twitterによる発信を、少しづつだが始めることにした。アカウントは「http://twitter.com/ugtk」。といっても厳密には、すでに数ヶ月前にアカウントを取得済みで、新聞社系のニュースをRSSみたいに収集したりはしてたんだけどね。発信してこなかったのは、以前からコラムやマンガで「Twitter批判」してきた通りで、堂々と「自分語り」する人々に距離感というか引け目を感じていたこと。あと、職業柄秘匿義務が多く、しかも生活の大半がプライベートより仕事や創作で占められているため、「今何をしているか?」について発信するのが、あまりに憚られてしまう面が大きいことにある。それに元々長文傾向もあるし、いまどき時代遅れのブログをやってる立場なので、Twitterと併用すると言っても、パワー配分をどうすればいいかが難しいし。ま、そんな感じで興味を持ちつつも傍観していたわけだが、ブログを文章からコミック中心に移してからは、それほどシビアに棲み分けを感じなくても済むようになった。当然、その間に起こった「tsudaる」ブームも知ってるし、高橋健太郎氏のシビアなツッコミも愛読してる。広瀬香美氏と勝間和代氏の掛け合いは往年の「ANO ANO」みたいでいつも感心するし、平沢進氏の『けいおん!』発言にも笑わせてもらった。結局、自分のアナログな生活をTwitterの身の丈に合わせることは永遠に無理なことは承知の上で、ちょっと個人的ないきさつがあったもので、このたび少しづつだが発信することにした。といってもここで仲間内にこうして「宣言」しただけで、実際はこれから始めなければならない。ぜひ、先行者の方々はリードしておくれ。
 個人的いきさつと書いたのは、一昨日のこと。新宿ロフトプラスワンのイベントの仕込みに関連して、いまさらだが「mixi」に入ることを決意したことに始まる。ところが、せっかく知人に紹介してもらいながら「入会拒否」となったのだ。理由は簡単で、「携帯メールアドレス」を持ってないため。複数アカウントを取得する個人がいるのを制限するために、携帯電話のチップ認証を利用しているらしく、昔はメルアドがあればよかったのに、原則携帯メールユーザーでないと加入できなくなっているのだ。いまどきiモードぐらいしか表示できない「mova」という古い機種を使っている小生。スパムが多すぎて閉じていた昔の携帯メルアドをそのために復活させて登録してみたら、「その機種では対応できません」と断られてしまった。タワーレコードのWポイントセールでも、機種が古すぎるって応対して貰えなかったしなあ。「携帯を新調すればいい」との説はごもっともだが、ワタシはほとんど携帯電話のメールやブラウザというものを使わないから。んで、「mixi」をとりあえず諦めた代わりの、代替手段を求めてってことと、「mixi」にしても、昔誘われたときに形だけでも入っておけばよかったという後悔が募り、とりあえず将来自分がそれを必要とするときのために、少しづつTwitterに体をならしておこうと思ったワケである。
 それともうひとつ。「POP2*5」ブログのページビューがここ最近けっこう伸びているのだが、その理由というのが、当ブログと別に新作コミックを更新アップしている「Pi●iv」において、このところワタシがトップランカーに対してやんちゃな投稿をして、お騒がせしていることに起因している。1年近くネタ投稿してさしたる注目も得られないので、アカウント剥奪されてもいいやって自暴自棄になって、どうせ辞めるんならと、ランキングの人気者への道場破りネタみたいなものをやり始めたところ、運営側を困らせるどころか、「善意の第三者」の方々を刺激することになってしまった。元々週刊誌でずっと編集業をやってきた身分なので、『ゴーマニズム宣言』みたく、権威に噛みつくことこそ世間の耳目を集める最良の手段と、かなり自覚的にやってみたわけだが、思ってた以上に一般ユーザーをナイーブに刺激してしまったみたいでして……。
 音楽、映画、アート、ファッションなど、自分に身近なカルチャーの世界では、パンク、ニュー・ウェーヴ(ヌーヴェル・ヴァーグ)的な波が周期的に起こって風景がガラリと変わる、「親殺し」の歴史によって刷新してきたという意識がある。ところが、マンガの世界にはそういう、保守層に噛みつくというような「パンク」という発想ないみたいなのな。画力に見合わず、組織票を駆使してトップテン入りしているようなランカーを揶揄するのさえ、2ちゃんねるのヲチ住民を怒らせてしまうほど“保守的”なのだ。面白がってくれたり共感していただく方も少しはいるので救われるが、そんな人にさえ「Pi●ivはあなたが考えているような世界じゃないですから」と心配させてしまう始末。正直言えば、「組織票を持っている絵師の萌え絵なら、酷くてもランク入りしてあたりまえですから」という大半の主張には首を縦にふるつもりもないし、もしそうだったら「Pi●ivはメディアとして終わってる」と思うんだが、やはり自分が「マンガに疎い人間」という引け目はある。そんなこんなで「八方破れのパンクマンガ」なんてものが、今の保守層にそもそも求められていないということを、1年目にしてやっと自覚したところでして。以前のエントリでも書いたけど、私自身、小学校2年生のときに親に「子供っぽいのがイヤ」とどうしてもとせがんで小学館の『小学4年生』を取ってもらっていたほど、昔から大人への憧れの強い性分。中学ぐらいの思春期にニュー・ウェーヴに開眼し、それまで持っていたマンガのレコードやコミックスを「子供っぽいのは卒業」と全部捨ててしまったという、割礼の儀式を体験してきた世代。そういう、何度かの大人への儀式を体験して今に至る自分からすれば、「思春期になっても、マンガのレコードやコミックスを捨てずに大人になった」という人たちの意識は、どこまでもやはりわからないというのが正直なところ。Pi●ivのアカウントも、今後どうするかは決めかねているのだが、望まれないのに居続けてやんちゃややり続けるのも不毛だしね。
 で、「Twitterで発信を始める」と決意するまで、いろいろ模索はしたんだけど、どっちにしろ「○○なう」なんて自分の居場所や趣味を披露することはないと思うので、ひとつ活用提案をば。当方には、今回イベント用に集まったビデオのようにかなりのデータベースがあり、一般の方からすれば年長者なりに知恵を提供することができる自負がある。例えばテクノポップ関係でもいいし、そういうサブカル的なタームについて関心がある、若い世代の人からの質問がもしあれば、許される範囲でそれに応えられるという心つもりがある。その代わり、ギブ・アンド・テイクではないけれど、ワタシがこうして更新している意味不明なコミックを、もっとまともなものにすべく、アドバイスしながらリードしていただける方がいたら、どうか力になってやっていただきたい。
 実際、「マンガに疎い」という引け目を十分に理解しているけども、ここ数ヶ月会ってきた「漫画編集者」という人種の考え方には、あまりにも共感できずに悶々としてたりする。ハッキリいって、「漫画編集者」というのは編集者とは別の生き物。例えば、「Pi●iv」のような消費者代表のアマチュア・ユーザーに「萌え肯定論」を言われるならわかるけど、それをプロの「漫画編集者」が揃いも揃って、さも偉そうに知ったふうな事を言うのには、いい加減に辟易してるよ。「マンガ編集者は漫画家を育てる仕事」とエラソーに言うわりに、結局ランキング重視で消費者にお伺い立ててるのが実情で、将来ある作家をアンケート結果でさっさと切り捨てるってことに、「育てる仕事」として矛盾はないのかなと思う。「Pi●iv」に投稿したりしてる内容にも、どっかそういうことへの苛立ちが背景にあって、本人としては「Pi●iv」運営の商業主義や、マンガ出版界の「萌え迎合主義」を非難してるつもりなのに、むしろ搾取されてる側の一般ユーザーのほうに恨まれるという、不毛な闘いが続いているのが悲しい……。
 某日のこと、「昨日の50TA笑ったよな〜」と前日のテレビの話題を振ってみたら、誰一人身内の人間はそれを知らなかったことがあった。よく考えりゃ、まわりはみんなすでにけっこうなオジサンだからね。マンガ読むって人も、基本的に一人もいないし。若い世代のヲチャーに、「Pi●iv」で「氏ね」とか相手にしてもらえるのも、ある意味幸せなのかもね。さんざんやんちゃした結果、心ある方々からいただいた「Pi●ivで萌え批判するのは筋違い」というご指摘は、さすがにものわかりに悪い自分でさえ、今はごもっともだと思ってる。正直、Twitterにしても、「正しくTweetしないのはけしからん」と言われるんじゃないかとビクビクしているところもあるが、そんな心配していたら、本日購入して現在読書中の津田大介氏の新刊『Twitter社会論』(洋泉社)に「Twitterは、140文字という字数制限以外はどう使おうとルールはない」と書かれていたのでホッとした。そんなわけで、当エントリにて告白した次第。ブログ、イベントと併せてよろしく。



 いよいよ来週火曜日に迫ってきたイベント。どうかご来場のほど、よろしく。