POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

あるヨーロッパのYMOファンとの対話


 これは98年当時、怒濤の短期更新を続けていた読み物の一つで、インターネットを始めたばかりのころに、ある調べ者をしていて知り合った、スウェーデンに住むYMOファンへのインタビューを活字化したもの。Jonas Warstad氏は、私が書いたニュー・ミュージック『フロム・A・トゥー・B』『エニウェア』『ワープ』(エピック・ソニー)のCD復刻版のライナー・ノーツに情報提供してもらうなどの間柄で、大のトニー・マンスフィールド愛好者。トニーを通じて高橋幸宏ソロやYMOを知ることとなり、ヨーロッパでは入手困難なYMO周辺のディスコグラフィーを、こつこつと自身のホームページでアーカイヴ化していた。残念ながらしばらく音信不通だが、名称が変わりつつも当時のページは残っており、以下のURLで残された資料を今でも読むことが可能である。

http://www.discog.info/index.html

 原田知世Bonnie Pinkらが、トーレ・ヨハンソン・プロデュースでスウェーデン録音をするなど、当時、日本でもブームが定着していたスウェーデン。だがJonasによれば、かの地でレコードを収集する苦労は並大抵ではなく、音楽環境はそれほど充実はしていないのだという。しかしながら、早い時期からネットアカウントを国民に配布したり、彼自身も私のようにスイスのグループ、イエロの伝記の執筆を自治体に申請して金銭的なバックアップを受けるなど、スウェーデンの文化民度は高く、文化後進国の日本とは真逆の世界があった。
 また、それまでのYMOの評伝で書かれていた「海外で成功したグループ」というイメージは、あくまで逆輸入のための宣伝効果を目的としたもので、イギリスの音楽紙『NME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)』の記者など一部の高感度な人々を除き、ヨーロッパ圏でのYMOの認知度はごくごく限定されたものであったらしい。そうした情報格差をテーマに、インタビューに答えてもらえないかとオファーして、快諾いただき、都合3回連載でこれを取り上げた。
 翻訳技術がつたないこともあり読みにくくて申し訳ないが、オリジナルの英文のやりとりが消失してしまっているため、過去のホームページの記事をそのまま採録したことをお許し願いたい。



(1)

作 者 あなたはYMOの存在をどうやって知ったの?
ジョナ 私の音楽の友人から聴くことを勧められたか、もしくはラジオで聴いたのがきっかけだね。私はたくさんのシンセサイザー音楽を聴くんだ。それはドイツやイギリスのものだけじゃない。世界中のシンセサイザー音楽を聴いていた私が、YMOを聴くことになったのは自然な流れだね。
作 者 最初に買ったYMOのレコードは何だったの?
ジョナ US盤の『Multiplies』だね。82、83年のことだったと思う.。
作 者 YMOを聴いた最初の印象を憶えてる?
ジョナ とても強いメロディーとリズム、オリエンタルなサウンドでエキサイティングだった。それにとても音質がよくて、クリーンなサウンドだと思ったね。
作 者 もっとも好きなYMOのアルバムは何?
ジョナ US盤の8曲入りの『Multiplies』と、『BGM』『Technodelic』だね。理由は、私が最初に買ったレコードであること。私はそれらについて郷愁や、多くの思い出を持ってるんだ。
作 者 では、ジョナスが選ぶYMOの曲のベストテンを教えて下さい。
ジョナ とても難しいな。えーと、「Technopolis」「Behind the mask」「Nice age」「Music plans」「Mass」「Gradated gray」「Epilogue」「Ongaku」「Lotus love」「Perspective」かな。理由は、サカモトが書く美しいメロディーとアトモスフィア(雰囲気)、いくつものホソノの素晴らしいベースやリズムだね。
作 者 「Gradated gray」というのは面白いな。以前、私が取材したテレックスのダン・ラックスマンも、この曲がベストだと言っていたよ。
ジョナ 私はホソノの、催眠術のような、スウィングするような神秘主義的なベースのリズムが好きなんだ。
作 者 ジョナスはYMOのライヴを見たことがあるの?
ジョナ いいえ。
作 者 ヨーロッパではYMOのビデオは出ているのかな?
ジョナ 私は知らないな。出てないと思うよ。
作 者 YMOが変なステージ・コスチュームで演奏していたことは知ってるのかな。
ジョナ はい。イギリスの古い音楽雑誌で見たことがある。
作 者 YMOは、世界で最初にステージ上でコンピュータ・シンクロナイズで演奏したグループとして日本では有名なんだ。それに服装が変わっていた。
ジョナ その事実は論理的だね。なぜなら、日本は西洋より進歩した技術を持っているからね。衣裳はヨーロッパ人にとっては妙ではないよ。ヨーロッパのたいていのグループは変な衣裳をその場面ごとに着ているからね。
作 者 ジョナスがコレクションしている他のニューウェーヴ・グループと、YMOがいちばん異なってる部分はどこだと思う?
ジョナ 3人が等しく才能があるミュージシャンであること。それぞれが自分のテリトリーの専門家である。それは少しビートルズに似ているね。
作 者 ジョナスのディスコグフィーはすごいけれど、ヨーロッパではYMOのレコードは手に入るものなの?
ジョナ はい。ヨーロッパではYMOはrestless(元エニグマの社長が設立した、ディーヴォなどをヨーロッパに紹介しているレーベル)からリリースされているよ。しかし、すべてではないと思う。確かライヴは出てないよね?
作 者 restlessが出したベスト盤『Kyoretsu na rhythm』は選曲が変わってるよね。restlessについて、何か知ってることってある?
ジョナ テキストには「選曲:John Guarnieri」というのと、「このアルバムをアキ・イクタの思い出に捧ぐ」とある。これが私が知るすべてだね。
作 者 アキ・イクタ(生田朗)は最初のYMOのステージ・マネジャーだね。では、ヨーロッパのYMOファンみなが探しているアルバムってあるのかな?
ジョナ 彼らのライヴ・アルバムだと思う。しかし、確かではない。私たちは日本からの輸入盤でそれを買うしかないんだ。しかし、それはとても困難だし、とても高い!
作 者 YMOの日本製のレコード(CD)は持ってるの?
ジョナ はい。日本のレコード(CD)は音質は通常良いよね。しかし、印刷されたYMOの英語の歌詞はたいていまちがっている(笑)。それと、YMOは日本盤にはボーナス・トラックが入っていないんだ。妙なのは、例えばピーター・ゲイブリエルなどのヨーロッパのアーティストの場合、日本製のCDはたいてい多くのボーナス・トラックを持っている。しかし、それらには西洋盤には入っていないんだよね。
作 者 これは日本の特殊なレコード産業事情が理由だね。日本のレコードは世界一高い。アメリカの3倍ぐらいするし、定価制なんだ(GHQ政策の名残で、レコード、書籍が再版価格商品なのは日本だけ)。だから、日本の洋楽ファンは輸入盤を買うんだ。でも、日本のレコード会社もまた海外の大手レーベルとライセンスしているから、日本製の洋楽CDも売らなきゃいけないでしょ。そこで、日本盤のリリースを輸入盤の入荷よりも早くしたり、日本製CDのみにボーナス・トラックを入れることを本国のレーベルは了解したんだ。ただしこれは条件付きで、ほとんどの日本盤は「輸出禁止商品」。だから、イギリスなどで買うと非公式だから日本の定価の倍ぐらいもする。
ジョナ ふうん。そうなんだ。
作 者 日本製のCDが入手し難いという事実について、あなたはどう思う? 社会学的見地で言うと。
ジョナ 言いたいのはただひとつだね。レコード会社は常に金と制御を欲しているということ。
作 者 それに、YMOにはそもそもボーナス・トラックが少ないグループだからね。彼らはコンピュータで音楽を作っていたので、ほとんどリハーサルをしなかった。Altanative trackやDemoというものが存在しないんだ。
ジョナ 私が意味しているのはOut-takeのこと。ほとんどのアーティストは15のトラックを作り、そのうち10曲だけをアルバムでリリースする。あるいは、1、2曲はシングルのB サイドで出すだろう。
作 者 うん、そうだね。
ジョナ 私はそんなレア・トラックを日々探求しているんだ。ヨーロッパの音楽ファンの多くがCDレコーダーを持っていて、今はそのレア・トラックをトレードすることができる。以前、ユージにも言ったけれど、ヨーロッパではCDレコーダーはとても普及していて安いんだ。反対にソニーのMDはごくわずかのお金持ちしか持っていない。それにあれはCDより音質が悪いから。 DATはヨーロッパでは、マスタリングで使われるような、プロ・オーディオの機械なんだよ。



(2)
作 者 さて、YMOは日本では音楽以外にも、出版とかテレビ出演などを通しても活動し ていて、シニカルというか風刺のグループとして知名度が高いんだ。その事実は知ってるのかな?
ジョナ ノー。たいていのヨーロッパ人はそれを知らない。YMOはヨーロッパではシンセサイザー音楽ファンのみに知られた存在だ。しかも、たいていのシンセサイザー音楽ファンは、YMOの態度については知らないと思うよ。
作 者 YMOの態度については、音楽を聴いていてわかるのかな?
ジョナ いいえ。それはヨーロッパのファンにとってほとんど不可能だからね。それらは態度ではなく、ただの音楽だから。
作 者 でも、YMOの歌詞は英詞でしょう。逆に日本では英語を理解する人はヨーロッパよりずっと少ないんだけど。YMOの歌詞は訳してみ ると、とても抽象的だし、日本人には難解に見えるんだ。それに、とても散文詩的だし。歌詞の意味って理解できる?
ジョナ まず、ヨーロッパのレコード(CD)では、YMOの歌詞カードを入手するのが難しいんだよ。それに、使われている若干の単語が(イギリス人以外の)ヨーロッパ人には難しい。辞書で調べなきゃいけないんだよ。そして、YMOは聴くことを難しくするために、 声にヴォコーダーを使うだろう。
作 者 YMOの活動期は3つに別れてるんだ。最初はデビューから80年いっぱいまで。次が『BGM』『Technodelic』を出した81年。82年は小休止して、後は解散まで。これら3つはまったく別のバンドの音楽性みたいなんだ。あなたはその時々の変化を、レコードを通して理解できる?
ジョナ 私の考えでは、最初の期間は歌/メロディー志向である。それは、少しクラフトワークに似ているね。ハッピーだし、リズム的だね。そして、『BGM』『Technodelc』では、もっと難しくて暗くなる。しかしそれは、ヨーロッパの一般的なシンセサイザー音楽ファンの好みでもあるね。それから『Naughty Boys(浮気なぼくら)』『Service』はもっとイージーリスニング寄りで開放的だよね。
作 者 例えば、『Naughty Boys』からYMOは、プロデュース・クレジットがホソノからYMOに変わっている。理由があるとすれば、「サカモトの力学」とでも言うのかな。
ジョナ うむ。たぶん、ホソノの音は急進的で難しいからね。
作 者 ホソノとサカモトがYMOに於いて対立していたことは知ってるのかな? 最初はサカモトはとてもホソノを尊敬していたんだけど、ある時期から考え方が変わって、『BGM』のときスタジオにこなくなったんだ。いうなればボイコットだよね。
ジョナ なるほど。それが『B-2ユニット』を出した理由なのか? 抗議として。対立していたということは理解はできる。しかし、私には対立した理由はわからないな。それは個人的なことなの? それとも音楽的なことなの?
作 者 うーむ。答えはとても難しいな。YMOはわかりにくいバンドなんだ。例えば、あなたが大好きなホソノのベースも、最初はホソノが演奏していたのかもわからない。ファーストのアレンジメント(譜面)はすべてサカモトが書いていて、ホソノは作曲だけだと言っている。彼にそれを聞くと、「私はステージ上における低域担当者でしかない」と言っている。
ジョナ あれがホソノではないなら、YMOのベース奏者は誰なの?(笑)
作 者 さらに言うと、YMOでホソノがエレクトリック・ベースを弾いているのは、「Tong poo」「Technopolis」「Tighten up」などの初期の曲いくつかと、『Technodelic』だけなんだ。ホソノは『Technodelic』でとても消極的(negative)にベースを弾いている 。
ジョナ 「消極的(negative)に弾いている」ってどういう意味?
作 者 ホソノはインタビューで、サカモトがエレクトリック・ベースを演奏してくれと言われたから、弾いたと言っている。私もホソノのベースはYMO以外で聴くことが多いけれど、とても好きなんだけどもね。
ジョナ 彼のベース・ラインは、フィーリング、温かみがあって品質も高い。それにユーモア・センスがあるね。私は常によいベースを愛しているから。
作 者 ところで、あなたはスネークマンショーが入った10インチの『Multiplies』は聴いたことあるよね。スネークマンショーの内容は理解できる? それと、YMOがあれを自分 たちのレコードに入れた理由は理解できる?
ジョナ いいえ。一般的なヨーロッパのYMOファンはあれを理解していない。ただそれがユーモアであることはわかる。私は個人的に、それを聴くことを好まない。私にはそれがYMOの音楽を破壊しているように見えるけど。
作 者 あなたはホソノとサカモトにはとても興味を持っているよね。なのに、タカハシにはあまり関心を持っていないように見えるんだけど。
ジョナ 例えば、ソロ・アルバムの『Saravah!(サラヴァ!)』はとても好きだね。ロマンティックだけど、あまりYMOには似てないよね。『Murdered by the music(音楽殺人)』では「School of thought」「Radioactivist」「Numbers froma calculated conversation」「Mirrormanic」、『Neuromantic(ニウロマンティック)』では「Glass」「Connection」「Extra-ordinary」「Drip dry eyes」「Curtains」「Charge」「Something in the air」、『What me worry?(ボク、大丈夫)』では、「What me worry?」「It's gonna work out」「Sayonara」「Disposable love」、あと「Futari no kage ni」のシンセ・サウンドはサカモトの「Bamboo music」みたいだ。ザ・ビートニクスのLP(『出口主義』)では、「No wayout」「Une femme n'est pas un homme」 「mirror」「I'etoile de mer」「inevitable」と「River in the ocean」、『Tomorrow's just another day(薔薇色の明日)』では「Coincidence」。『Time and place』に入っている「Happiness is happening」については訊ねたいんだけど、『What me worry?』の時の音なの?  それともオリジナルなのかな? しかし、その後のタカハシの曲は私にはあまりにも退屈で、そして面白くなくなるんだ。                    
作 者 しかし、ホソノやサカモトはこう言ってるのね。「YMO≒タカハシ」だって。
ジョナ ふむ。『Neuromantic』『What me worry?』のいくつかのトラックはYMO的ではある。しかし、私にはタカハシがYMOの音を模倣しているようにしか思えないな。



(3)
作 者 話題は変わるけれど、YMOは当時、たくさんの別の歌手のレコードを作ってるのは知ってるよね。それは以前も話したけれど、日本のレコード・ビジネスはとても小さくて、成功してもアメリカ人みたいに別荘を持って一生を過ごすことが難しい。日本はスウェーデンと同じく、税金も高いからね。YMOが参加したレコードでは何が好き?
ジョナ 私は残念ながらYENのレコードを持っていないんだ。それは日本以外の国ではとても珍しいものなんだ。しかし、私の好きな曲を挙げるよ。サンディ「Zoot kook」、タエコ・オオヌキ(大貫妙子)「Carnaval」、これはジョルジオ・モロダーの音みたいだ。あと、アキコ・ヤノ(矢野顕子)の「Harusaki kobeni(春咲小紅)」「Ashkenazy who?」だね。
作 者 凄いねえ(笑)。リューイチ・サカモトは、日本で最高の芸術大学東京芸術大学)を出ている教授(professor)なんだけど、そ の事実はみな知ってるのかな?
ジョナ ワオ、それは知らなかった。
作 者 日本では教授がポピュラー音楽を手掛けることは、当時はとても珍しかったんだ。
ジョナ 私はサカモトは音楽に対して、教授的な姿勢を持っていると思うね。なぜなら、少し哲学的だからね。
作 者 日本ではYMOのような音楽のことをテクノポップ(Technopop)というんだ。これは和製英語なんだけど、その言葉は知ってる?
ジョナ うん。同じくここヨーロッパでも普通の表現だよ。テクノポップというのは、バグルズとか、78〜80年ごろのシンセサイザー音楽のことを指す言葉だね。
作 者 日本ではYMOクラフトワークディーヴォに似ているといわれることが多いんだけど、あなたはどう思う? 私は必ずしもそう思わないんだけど。
ジョナ うん、でもそれらはYMOのようではあるよね。たぶん、ビジュアル・スタイルの部分かな。
作 者 日本では80年代にYMOのような音楽がとても発展したんだ。ローランド、コルグヤマハは日本のシンセサイザー・ブランドなんだ。そして、トミタ(冨田勲)、プラスチックス一風堂ロジック・システムなどが世界で知られている。あなたはYMO以外で 好きな日本のミュージシャンはいる?
ジョナ 70年代末に、トミタのいくつかのレコードを聴いたんだけど、私はそれはあまり好きになれなかったね。プラスチックスは聴いたことがないんだ。一風堂はLPを聴いたことがあるんだけど、それはよかったな。ロジック・システムは、ヨーロッパではとても知られたシンセサイザー音楽のグループだと思う。しかし、一般的に知られているのは1枚 目のアルバム『Logic』だけだね。私はそれと同じほど、2枚目、3枚目が好きなんだけどね。
作 者 あなたのようなヨーロッパ人のYMOファンというのは、珍しい存在なの? また 、ヨーロッパの普通の音楽ファンはYMOのことを知ってるのかなあ。
ジョナ くわしくはわからないな。でも、たいていのクラフトワーク・ファンはYMOのことを知ってると思うよ。しかし、ロジック・システムはそれほどではないけれど。
作 者 反対に、日本ではスウェーデンの音楽はとても人気が高いんだ。たくさんの日本人がスウェーデンに行って録音している。その事実は知ってるよね?
ジョナ 知ってる。しかし、理由はわからないな。たぶん、エキゾティックだからなのかな?
作 者 では、あなたの音楽ヒストリーを簡単に説明してくれるかな。
ジョナ ふむ、私はたぶん1976年に音楽を聴き始めた。そのとき、私は11歳。そのころはディスコ音楽と、スペース『Magic fly』のような シンセサイザー音楽が始まったばかりだった。86年ごろから私は音楽の趣味を広げた。私はまだ「新しい音楽」に興味を持っていたけれど 、若いときほど感情を高めてくれるような新しい音楽と出会うことが減っていったんだ。
作 者 あなたがいちばん好きなシンセサイザー音楽のグループって何なの?
ジョナ それを言うのは不可能だ。YMOが好きな日もあれば、次の週はクラフトワーク、 また別の日はタンジェリン・ドリームのような……というように。しかし、あなたも知っているように、私はシンセサイザーを使わない音楽も好きだ。食事の時に、毎日同じものを食べることができないようにね。 
作 者 最後に、ジョナスからYMOについて、何か疑問はある?
ジョナ 私はYMOが少し神秘主義的に見えることがあるんだ。特に『BGM』『Technodelic 』のヴォコーダーや変なリズムに関して。彼らは神秘主義者なのか?
作 者 ホソノは大学で哲学科を出ていて、後に東洋哲学に向かうんだ。YMOでも「U・T」は地球外生命体のことを歌っている。「Gradated gray」も少し宗教的な部分があるよね。
ジョナ なるほどね。ヴォコーダーを使うことは、音を解放することをとても複雑にしてしまうね。
(了)