POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

「pi●iv」1コマ投稿イラスト・コレクション(アーカイヴ編)

 以前書いたように、「pi●iv」ではコママンガの評価が極めて厳しい。まるで高信太郎の演芸評論のように、眉間にしわを寄せて熟考した果てに、やはり点数を入れずに皆去っていく。その一方で、「『けいおん!』の4人脱がせちゃいました」には速攻で1000点ぐらい入る。それはまるでコント。よほど皆、日本のマンガ文化を草の根から断ち切りたいのか。横尾忠則から連綿と受け継がれる60年代からのモダン・イラストレーション史に、無理矢理ペラペラのセル画絵を連結させたいのか……。それを見て東浩紀の言っていた、ヲタクが文脈を読み取る力を失い、わかりやすい記号のみに脊髄反応することで、消費が加速していく「動物化するポストモダン」のことを思い出したのだが、そんなことはもうすぐ会員数80万人を突破する「pi●iv」にとっちゃ、知ったこっちゃないといったところだろう。自分の作品がスルーされてブー垂れている(これでいいんでしょ?)、ワタシにしても最初から文句言ってたわけでなく、4カ月もじっと黙って投稿していたわけで、またそのごく初期には「郷に入れば郷に従え」のつもりで、慣れない1枚もののイラストを描いてアップしていたこともあったのだ。
 しかし、同じ男が描いてることなので、萌え絵を目指してもそうなるはずもなく、どこかギャグを盛り込みたくてウズウズしている。これらをブログに再録するのはどうかとは思ったが、まとめてわんこそばのように紹介するぐらいならごまかしも効くだろう。というわけで今回は、過去の「pi●iv」投稿作品の中から、1枚もののイラストだけをまとめて解説付きで紹介する。


■初音三國連太郎

■鏡音蓮司

 昨年12月ごろの初期作品。なんとかボカロブームにしがみつきたい必死さが出ている。今見ると色の塗り方がめちゃめちゃ。


仲里依紗

榮倉奈々

 トップアイドルの似な絵2点。おばちゃんのような親しみやすさを持つアイドル「仲里依紗」と、ヒラメ顔の庶民派「榮倉奈々」という、チョイスは抜かりなしと思ったのだが撃沈だった。アニメ顔にカツラを被せた、ライバルが投稿した「仲里依紗」、「榮倉奈々」には1000点が入っていた。「pi●iv」ユーザーの美意識を掴むのは本当に難しい。


■セクシー水着グラビア

レースクイーン

 「オレにだって萌えイラストは描ける」と豪語して投稿したが、反応はさっぱりだった。俺は萌えのことが何も理解できてなかったのだ。「タイトルがよくない」という意見も多かった。


初音ミクオーケストラ

 ちょっと改心してボカロブーム便乗に再チャレンジ。思いの外、得票数が高くて驚く。


北島三郎「ソウ」

 調子に乗って、また自分の持ち味を出してしまったことで評価点急落。キャストに併せたリンチシーンで盛り上がる『ソウ』シリーズに、北島三郎が出たらきっとこうだろなと想像しながら描いた。


■空飛ぶ昭和っぽい魔女っ子1

■空飛ぶ昭和っぽい魔女っ子2

 「pi●iv」の人気イラストのチェックポイントに、「1枚絵であること」、「背景が書き込まれていること」がある。とにかく、メインの女の子がどんなに頭でっかちの寸胴で、ダイソーの100均で売ってるような服を着ていても、背景が写生大会ばりに描かれていれば得票数は高い。でも、人物のデッサンが狂ってるときは一目瞭然だけど、背景のパースって上手い下手わからないから、それってずるくね? ともあれ、自分なりに頑張って背景も描いてみた2点。


■晴れ着でジャンプ

■最新モードの水着でポーズ

■晴れ着でジャンプ(使用例)

 「pi●iv」の上位ランキング作品を見ると、とにかく女の子がジャンプしている空中場面が多いこと。なにか強迫観念があるのだろうか? まあ、そう突っかからずに便乗して、正月だから記念に晴れ着でジャンプするシーンを描いてみたってのが1つ目。意外にも着物でジャンプする女の子の絵の投稿作品が他にはなかったのは、マール社の『人物ポーズ集』に「着物ージャンプ」の項目がなかったからなのだろうか? 2つめの水着のは、「pi●iv」の投稿作品にも多い、体だけアイドル水着を模写してアニメの顔を載せたイラストを真似てみたもの。頭と体のサイズのバランスの取り方が、他の人みたくうまくいかなくて、「アニメ芸術」の難しさを知る。3つ目は1つ目のテンプレートの使用例として作ってみたが、まあ投げやりなこと。


■金田さんの「ムー」

 DVD発売記念に描いた。オリジナルはいわずもがなの横尾忠則画伯。


巡音ルカ

 ボカロ第3弾のリリース時、さすがのワタシもギャグ投稿ばっかりやってたわけではなかった。ムダと承知の上で、かなりマジメにアニメ美少女イラスト風を目指してみたが、「高橋留美子みたいに下手」と言われる。ぐすっ……。


■キスアタック

■キスアタック2

 CGモーションのような三半規管に悪そうなアングルの絵ばかりがギャラリーに信奉されている様を見て「キモチワルー」と思って、自分なりに「奇抜なアングル」に挑戦してみたもの。思いの外、反響よかったのは、マール社の『人物ポーズ集』に、「ジャンプーキス」の項目がなかったからだろうか?


■欽ちゃんの仮装大賞

 基本的にR-18のポルノ投稿には興味はないが、「pi●iv」に実は多いゲイ作家の方々の投稿に心を打たれて、ワタシも描いてみた。ちょっと風刺が効きすぎたかも。


■だいたい合ってる

 小室哲哉容疑者逮捕のニュースの見出しが、「pi●iv」用語として有名な「だいたい合ってる」だったのに驚いて投稿する。


■猫女優

 コママンガの連作だった「猫女優」シリーズの関連で、極めてポルノチックな絵を描いてみたもの。


(執筆後記)


 「そんなに他者の評価を気にしなくていいのに」とアンカーでご指摘いただいている御仁がおられるが(ご厚意からのコメントだと理解はしてるが)、こういうブログでは「それをいっちゃあおしまいよ」というところがありまして。いっこうに当ブログの★評価が増えない現実があって、「沈黙してるのは評価してる証拠」とかいうbardiche-assaultみたいな身勝手なロジックをさも正論のように押しつけるやつがいるわけだから、黙っててコトが好転するわけがない。ま、他の方のブログみたくクリック推奨とか、マジメに★集めの営業活動してないのは、実は「他人の評価を気にしてない」からで、それをネタにブログでボヤくのが本懐だから。マイケル・ムーアの映画みたく「監督、あんたがいなければ事件は起こらないのに」みたいな、自らが火種なって真実を焙り出すのが目的なので。真に必要な告発だけ言ってりゃいいなんて言われたら、週刊誌編集者はおまんまの食い上げでどうするのって話。「告発」「スキャンダル暴き」は、やりたいからやってるというより読む人がいるからやっている、社会使命というか職能だから。
 ただ、誤解のないように言っておきたいけれど、「pi●iv」で「他人の評価を気にせず」4カ月も黙ってやっていたのは、マジメに絵の分野の取り組みをしたいからであって冷やかしではない。そのウォッチングの結果として、「何があっても頑なに評価してくれない」という邪悪な集団心理がそこにはあるのに、誰一人指摘してないからワタシはそれを書いている。だってさ、いくら頑張っていい文章書いてみても、『ミュージック・マガジン』の権力者、高橋修には個人的に気に入らないからとずっと無視され(営業妨害まがいのことまでされた)、ALL ABOUTの四方宏明リクルートの権力を傘に、テクノポップ情報ポータルサイトなのに小生がリリースに関わっているYMOほかのテクノ系アーティストは存在しないみたいに振る舞っている。こんなシュールな現実があるってのに、御仁はまだ他人のことなんて気にせず「黙ってろ」とでもいうのかな?
 つか、アンカーの一定のパターンとして見受けられるけど、他人のブログわざわざ観に来てんのに、「それって取り上げるほどのことか?」「そこまで怒る必要はないのに」とかいう反応をする人の目的がよくわからん。心理学用語として「他者」を認識できないのか? ブログ主として言えるのは、「手前の感想なんか聞いてない」「俺はお前じゃない」「で、お前は何を思うのか?」「何か思うんなら文章に書いてトラックバックしろ」しかありませんね。


(追記)


 上記の「後記」を書いたあとも、次々書き込まれるアンカー(トラバコメント)を見て思うんだけど、「俺はこう思う」→「なのにここのブログはそうじゃない」→「だから嫌い」というアホな三段論法でコメント残すヤツがなんでこんなにいるのか。もう一度繰り返しになるが、心理学で言う“他者”という概念がわからないのか? 「俺はお前じゃない」。カネもらって作る本なら、こっちもプロだから合わせもするが、「情報はタダは当然」で「黙ってROMってるのは評価してる証拠」と勝手なことをのたまい、人が勝手にやってるブログに来ては、好きだの嫌いだの小学生の感想文程度のことしかコメント残せない。そのくせ、情報をもらった相手に情報でお礼するというような、「トラックバックの精神」すら見受けられない。インターネッツのインタラクティヴ性というのは、複数の意見を主従関係なくリンクさせられることにあるわけじゃん。それがなんで人のブログにぶら下がって、コメで得意げにいちゃもん付けてるやつばっかなのか?……本当にどうかしちゃってる。なんでそこまで未成熟なのに、他人を見下して得意げでいられるのかさっぱり。他者に対して、デフォルト=一定の尊厳、から始める人間関係って発想はないんだろうな。「絵は好きだけど」と言っていただく方がいるのは救いとしても、「だから文章は俺の言う通りにしろ」は明らかに相手の人格を無視した発言だし。この世界は、そんな当然なこともわからないほど、“大人”がいないのだろうか?
 このエントリの内容には、むろんデフォルメもあるわけだが、そんなのリテラシーの高い読者なら見抜けると思って、話の面白さを優先しているところがある。しかし、貴重な4カ月という期間に、自ら毎日投稿するという体験を通して得たことを根拠に書いたものだから、他人のブログのクリップばっかりしてる連中の「pi●iv」情報とは違う、ワタシのオリジナルだよ。「点数がなかなか入らない」を身をもって知り、その処し方から見えてきた「pi●iv」の傾向についての考えた論考なのに、毎日投稿なんてしたこともない輩が、「萌えイラストが確かに人気だが、萌えじゃくて人気の人もいる」とか、どっかのニュースで知ったようなことを、さも絶対真理のように語って、このブログを断罪しようという発想はまったくもって理解しがたい。