POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

Perfumeが出てこない「Perfumeマンガ」その4《ニセPerfume登場の巻》


東京カルチャーカルチャーでやったイベント「POP2*0ナイト」が失敗に終わった主人公snakefinger(以下、すねふぃん)。「やっぱ集客力のあるゲストがいないとなあ……」とボヤくも、大ブレイクしてしまったPerfumeを呼ぶのはもはや不可能。だが、彼は閃いた!「そうだ!Perfumeがダメなら、ニセPerfumeを自分でプロデュースしてイベントに出せば一石二鳥じゃん!」

自分で書いて忘れてた「プロデュース論」などをふむふむと読み直し、さっそく郷里の芸能スクールにコンタクト(そんなものあるのか?実際)。中の中ぐらいのルックスの若い3人組を、金がないので寝台八雲でスカウトしてくる。

CBCラジオの『パンパカパーティー』を聞いて、Perfumeの楽曲とトークのギャップに着目。「これからは方言ドルの時代だ!」と、さらなる田舎性を打ち出し、知り合いのテレビ局関係者を訪ねるプレゼン行脚を決行する。AD「なんで彼女たち、島根出身なのにしゃべりが東北弁なんスか?」 ディレクター「『砂の器』に出てきた“方言のトリック”知らんのか? お前は……」

「やっぱ土着性でしょ」「トライバル・テクノでしょ」。Perfume中田ヤスタカ路線の向こうを張って、サウンドは知人のグループ、ELEKTELのpolymoog氏に発注。

コネを最大限に利用し、牧村憲一氏の新レーベル「ニュー・ノンスタンダード」から、彼女らをオイニーズとしてデビューさせることに成功する。「Perfumeのライバル」というバッタモン感を強調するため、ブラビから天山(浅井企画)をスカウト。同郷のネゴシックスと抱き合わせで、メッセサンオーほかを営業で回る日々。

マネージャーはみんなの大好きなやっさんだ。「オイニーズのスタッフは天才か博打打ちかどっちかだ」とQJ誌も絶賛。

だが、あろうことか手形詐欺にあって一文無しになってしまったすねふぃん。薄情にもオイニーズを置き去りにしてトンズラを決め込む。「あとの借金返済よろしくな! じゃあな、かまいたち……じゃなかった、おまえたち」(柳沢慎吾のギャグ)

それから10年の月日が経った。因果応報はあるもので、すっかり落ちぶれてルンペン同様の日々を過ごすすねふぃん。

その後、オイニーズはプロデューサー不在の逆風をバネにして復活。ファンの助力もあって不死鳥のようにブレイクを果たす。「プロデューサーって何なんだろうなァ……」と一人溜息をつくすねふぃんであった。<THE END>