POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

都築響一『TOKYO STYLE』(京都書院)

TOKYO STYLE (ちくま文庫)

TOKYO STYLE (ちくま文庫)

 高価ながら、青山ブックセンターでランキング上位に入り、フランスでも発売されて人気を博した、部屋ブームの火付け役となった写真集(上記は文庫版)。都築氏は、『ブルータス』香港特集などを手掛けた伝説の編集者だが、このころから自ら写真を撮り始め、本作もすべてが都築氏の手によるもの。だが、よもやカメラマンとしてのちに木村伊兵衛賞を受賞するとは、誰が予想し得ようか。
 で、なぜこの本を紹介しているかというと、私の前に住んでいた部屋が掲載されているからである。ある日家にいたら、『宝島』時代に仲がよかったマンガ家のまついなつき氏から電話がかかってきて「これからそっちを取材させてくれ」と頼まれて了承。その日に撮影されたものが、数ヶ月後(何年か後かな?)にこの本になった。『テクノポップDJパーティー』を制作していたころなので、グラフィック・マニュピレーター氏の版下などが写っている。マッキントッシュはLC575。楽器が見えるのは、AKAIのミニディスク仕様のS700、ベスタックスのサンプラー石橋楽器ヴォコーダーなどで、すでにすべてが私の手元にはない。撮影が30分ぐらいで終わったので記憶がないのだが、ウチはLPを入れるのにカラーボックスを横にして積み上げており、そのころですでにカラーボックスが30個ぐらいあって、それが個性を打ち消しているという都築氏の誌面設計があって、本編にはメインのLPラックなどは一切載っていない。ちなみに、本書にはあと、音楽評論家として有名なT氏、Y氏の部屋も載っているらしい(どれかはわからん)。
 都築氏は、芝浦のクラブ「GOLD」の空間プロデュースを手掛けるなど、音楽にも造詣が深いのだが、この後、都築氏の友人のスイスのインダストリアル・バンドで、ベルギーのプレイ・イット・アゲイン・サムからアルバムを出していたヤング・ゴッズがお忍びで来日したことがあった。ちょうどテクノな仕事ばかりやってたころだったので、都築氏から連絡があって「日本のミュージシャンとコンタクトを取れないか」と言われ、平沢進氏を推薦。コンタクトを取ってみたのだが、平沢氏が彼らのことを知らないということで、引き合わせが叶わなかったのが残念であった。