『ファニーゲームU.S.A. 』を観た。
以前、前身のブログ「POP2*0」時代にも取り上げたミヒャエル・ハネケ監督のアメリカ進出第一作『ファニーゲームU.S.A. 』のDVDが届いた。昨年末の劇場公開は観に行けなかったのだが、行った人によると劇場はガラ空きだったそうで、そりゃクリスマスイヴをこんな陰惨な映画を観て過ごすカップルはおらんわなと思ったが(笑)。全カット忠実に再現したリメイクと聞いていた通り、いい意味で予想を裏切らない出来。音楽もジョン・ゾーンがそのまま使われてるし、CDラックをまさぐるシークエンスや隣人夫妻など、オリジナルには出てこない新挿入カットも悪くない。リメイクとして成功してると思うのは、やっぱりナオミ・ワッツのキャスティングのおかげだろう。この人は現代のスクリーミング・ヒロインの象徴だからね。本人は不遇なホラー時代を思い出すかも知れないが、これぐらい怯えた顔がサマになる(そのときだけ美人度が少しアップする)女優はいないから。
予想外だったのは、DVDにちゃんと吹き替えが入っていたことで、さすがはアメリカ映画。日本版のみのボーナス・マテリアル映像も入ってて、ナオミちゃんが日本語でしゃべっております。ご存じの方も多いだろうが、この人10代のころ日本に住んでいて、マガジンハウスの専属モデルだった人だから。それとワタシらがときめいてしまうのは、ピンク・フロイドのサウンドマン、ピーター・ワッツの実娘ってことだろう。NHKの『アクターズ・スタジオ』に出たときも当然その話が出てきて、会場はそれだけで大歓待。アメリカってほんとピンク・フロイド信者多いんだよな。ピーター・ジャクソン監督が撮った『キング・コング』のヒロイン役を喜んでやる女優なんて、ケイト・ウィンスレットやこの人みたいな、「ちょっと変態」「ロックの血入ってます」みたいな人しかいないような気がするし。
ハネケ監督の印象は、ファンによって高尚にして哲学的と言う人もいれば、けっこうオッチョコチョイの俗物と言う人もいる。ピューリタン的な道徳心と、映像へのフェティッシュなこだわりに見られる変態性の同居は、ルックスが似てるからってわけじゃないけど、宮崎駿に近い印象があったりして。
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