POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

戸川純BOX『TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY』(テイチクエンタテインメント)

TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY(DVD付)

TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY(DVD付)

 立て続けに宣伝で申し訳ない。小生がライナーノーツのインタビューを担当した、戸川純の芸能生活30周年を記念したCD/DVD BOX「TEICHIKU WORKS JUN TOGAWA~30TH ANNIVERSARY」が今月22日にやっと発売される。テイチク在籍時の、ヤプーズゲルニカ、ソロ『昭和享年』、東口トルエンズのアルバム(CDおよびDVD)にボーナストラックを加えた各ディスクと、ゲルニカのアンリリースド・トラックス、ヤプーズゲルニカ、東口トルエンズのプロショットによる未発売映像をまとめたDVDを付けた豪華仕様。告知自体はずいぶん前にされていながら発売延期が続いてしまい、予約入れてお待ちいただいた方には本当に恐縮しておりまする。一昨年にソニーから単品で発売された戸川純戸川純ヤプーズ戸川純ユニット、ゲルニカの紙ジャケシリーズと併せれば、80年代の主要ディスクはこれでほぼ抑えられる、後追いにはありがたいファン必携のBOXになった。
 ソニーの紙ジャケシリーズは数回にわたってアンコールプレスされながら、毎回完売する人気ぶり。復刊ドットコム写真集が再版されたり、ヤフーオークションで過去作品が高騰するなど、このところ戸川純リバイバル的な現象が起こっていたのを、小生もよく耳にしていた。いろいろファンの話を聞いてみると、椎名林檎を経由してそのオリジネイター的存在として知った人、芸人の鳥居みゆきがリスペクトする存在として初体験した人、知人のばるぼら氏が監修したノンフィクション『NYLON100% 80年代渋谷発ポップ・カルチャーの源流』(アスペクト)で80年代の「戸川純神話」を再認識した人など、80年代はまだ子供だったという10代、20代の女性ファンが多かったりするのが興味深い。戸川純の登場は、「YMO登場以降、ニュー・ウェーヴ界で唯一の社会的トピックとなったアーティスト」として記憶されているというほど、デビューをリアルタイムで体験した小生にとっても衝撃的だったから。
 ソニーから発売された2枚組ベスト『TOGAWA LEGEND SELF SELECT BEST&RARE 1979-2008』でも、資料貸し出しなどでお手伝いさせていただいたワタシ。他社音源も含む練られた選曲には敬服したものだが、戸川氏語りおろしによるライナーインタビューがなにより面白かった。長年のファンも知らなかったようなエピソードも多く、これまでの交わされてきた「80年代ニュー・ウェーヴ観」に、別の角度から光を当てるような貴重なものだった。それが今回、BOX全タイトルのインタビューを仰せつかるという大役を任せられて、小生はハラハラドキドキ。今春、何度かに渡ってロングインタビューを遂行し、かなりのボリュームのライナーノーツをまとめることができた。70年代末のパンクシーン黎明期、アルファレコード時代、『夜のヒットスタジオR&N』の司会を務めていた「バンドブームの時代」と、広範囲な活動で知られる戸川氏だけに、評論家がまとめた過去に編纂された文献には書かれていない、当事者しか知り得ない証言が次々飛び出す。無論、戸川氏とは過去にも、ソロ、ヤプーズなどの新譜が出る度に何度か取材させていただいたことはあるが、これだけ長い時間をいっしょに過ごしたのは初めて。本人を目の前にして、昔『刑事ヨロシク』を見て恋心を感じていた高校時代を思い出してしまった(笑)。といっても、取材現場は爆笑の連発で、後半は余りに無礼講な脱線話ばかりになってしまったのを、削る作業に取られてしまったというほど。とにかく10分に一度はオチがあるというぐらい、戸川氏の話芸が凄いのだ。あのギャグセンスはほとんどオッチャンのノリである(笑)。女性アーティストのインタビューって、人によってはとりとめのない抽象論で終始することも多かったりするものなのだが、戸川氏の場合、すごく作詞の言葉選びもロジカルだし、映画監督も経験した方なので、考え方はほとんど男性アーティストというか、プロデューサーのそれなんだよね。「戸川純ヤプーズからヤプーズへの改名」、「ゲルニカの再結成」のことなども、事実を包み隠さず語っていて、ハッとするほど明快。そういう意味で、テイチク時代のディスクをすでにお持ちの方も、今回だけはそれを手放してもよいから、なんとかBOXを購入して、ぜひ同梱のブックレットを読んでいただけると嬉しく思っている。
 現在、戸川氏はソロをメインに活動中で、今月末にも南青山MANDALAでBOX発売記念ライヴが行われるが、すでにチケットはソールドアウト。次回は、おなじみ新宿ロフトのニュー・ウェーヴ祭り「DRIVE TO 2010」への11月の出演が控えている。ほか、先日初お手合わせとなった福原まり氏(元Shi-Shonen、リアル・フィッシュ)とのジョイント・ライヴが9月に再び行われる予定で、昨年よりライヴ活動が活発化しているのが喜ばしい。詳細は以下の通り。現在は書き下ろしの小説を執筆中とのことで、ほか彼女の近況は、ヤプーズのリリースなどを手掛けているレーベル、いぬん堂のホームページで確認していただければ幸いである。

戸川純&福原まり
戸川純(Vo)、福原まり(Pf,Key)、中原信雄(B)、矢壁アツノブ(Dr)】


9/16(水)@南青山MANDALA
http://www.mandala.gr.jp/aoyama.html
開場 18:00 開演 19:00
charge:¥4700 (ドリンク付)
チケットは下記でお求めください(整理番号付)
チケットぴあ Pコード:329-592
南青山MANDALA店頭で発売中。


問い合わせ
南青山MANDALA  TEL:03-5474-0411


戸川純
戸川純(Vo) 中原信雄(B) 、デニス・ガン(G)、ライオン・メリィ(Key) 、矢壁アツノブ(Dr)】

11/5(木)@新宿ロフト『DRIVE TO 2010』
http://www.loft-prj.co.jp/
18:00開場 19:00開演
料金:adv.¥4000 door ¥4500(ドリンク別)
OPENING ACT:キノコホテル
BAR STAGE:JON、etc 


チケットは、チケットぴあ、ローソンチケット、e+、新宿ロフト店頭で
8/1より発売予定


DRIVE TO 2010の最新情報はコチラ!
http://www.driveto2010.com/