POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

アニメ脳。




 普段、性格的におとなしい人が、車に乗ると粗っぽい運転をしたり怒鳴ったりするという話はよく聞く。本来の人間の力を超えた「車による高速移動」が長時間続くことにより、あたかも自分がスーパーマンにでもなったかのような錯覚が起こることから、他人を見下しがちになる“超人幻想”という心理効果が生まれるからといわれている。目で見える「風景の動き」、耳で聴く「環境音」、三半規管で感じる「振動」によって、人間の心理やコンディションなどは決定づけられる。例えば、バスに乗って乗り物酔いになったりするのも、風景は移動しているのに移動体感が感じられないという、これらの不均衡状態によって起こるとの説がある。先の車中での感情爆発の例も、目で見る風景はそのままなのに、車中ゆえ無音で移動感を感じさせず、三半規管にも体感振動がないため、これらの不均衡が精神的な不安定をもたらす部分から、歪な人格が出てしまうという分析がある。
 その昔、田中康夫が書いた恋愛マニュアルにまつわるエッセイで、「移動距離と恋愛的深度は比例する」というのを読んだことがあった。「デートに行くなら遠い場所までドライブする」とか「遠距離の彼女を頻繁に訪ねる」ことで、近場で相手と過ごすよりも効果が大きいと説く説である。インターネット社会が実現して、遠距離恋愛も身近になったし、海外の文献に当たったり、遠距離にあるマニア向けショップなどで気軽に買い物できるようになった。かつては、距離に隔てられて実現できなったことが、まるで自分がスーパーマンにでもなったかのような気分が味わえるところに、ネットの醍醐味がある。
 しかし、その事実と体感のズレが、ヒトの心理に歪な影響を与えることが多いよう。激つまんないニュースクリップ集(笑)やってるだけの、社会的にはあまり役になってなさそうな人間が、まるでニュースキャスターきどりで、どっかから拾ってきたニュースを高いところから語ったりするような軽率さもその一例。「普通の大人」なら自制心がそれをとどめさせるが、精神が未成熟な「コドモ」の場合は、軽率なカキコを堪えることもできないのだろうね。あー、やだ。


 気分直しに最近お気に入りの猫動画をドゾ。カワイイ!