POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

やおいマンガ「占い猫」

 「猫シリーズ」のいちばん新しい一本。これらを毎日更新している某SNSでは、リサーチのためにできるだけ多種のアプローチを試みてるんだけど、閲覧者の反応を観察してみて、やはり押しつけがましい衒学路線より、他愛ない生活描写(やおいマンガとも言う)のほうがストレートでウケがいいのを実感。ここ最近はその路線を続けてるのだが、あまり考えずにワンアイデアにそぎ落として、10分ぐらいで描き切るのがいいみたい。




 ところで過日、スタート時に鳥越俊太郎を編集長に迎えてソフトバンク鳴り物入りで2年前にスタートさせた、韓国発祥の最大の在野ジャーナリスト参加型ニュースポータル「オーマイニュース」が遂にサービスを終了。韓国では世論を動かすほどの影響力を持つサイトだが、やはり鳥越ブランドを持ってしても日本じゃ定着はしなかった。在野ジャーナリストの育成と発表の場というサービス内容は、実はライヴ・ドアのニュースポータル計画が先例にとして存在していたのだが、なにやらオプションのジャーナリスト育成講座が有料セミナー形式のショーバイ優先のものだったりと、怪しさもあってすぐに終了。むろん、既存の強権ニュースメディアのカウンター的な存在を育てないと、付和雷同な日本人の将来はダメという、ホリエモンの意図する気持ちはわからなくはなかったけど。それが果たせなかったこともあって、ホリエモンはその後、ニッポン放送株買収による「産経新聞、フジテレビら傘下企業を手中に」という行動に出たわけだ。体調不良で降板した鳥越氏に代わって、「Web現代」を立ち上げた元講談社元木昌彦氏が編集長に就任したこともあって、日頃から出版界の将来を憂う小生らも、一分の期待を込めてオーマイニュースの動向を案じていたわけだが……。結局、プロの分析家による意見を統合すると、当初から散見した愚かしいほどの運営側のネット理解の甘さが、参加者である在野ジャーナリストの気分を損ね、少なからずいたネットリテラシーの高い書き手が離れていく元凶になったということのよう。すごい内部告発カキコよく見かけたしね。
 とはいえ、ネットに詳しい事業者が仮にやってたとしても、メジャーな発表の場さえ作れば、「仮想敵」である新聞社や週刊誌社会部で日頃から働いている百戦錬磨の「ニュースのプロ」に、自らの取材力で太刀打ちできる在野ジャーナリストがたくさん育ったかと言われればかなり怪しい。中学時代に光州事件のニュースで暴動映像を見て、軍部が政治を掌握する現代・韓国をリアルタイムに感じていた私らの世代は、韓国のオモテの新聞、放送が完全に検閲下にあり、ゆえに反動的な在野ジャーナリストがウェブで大衆を扇動する力を持ち得ることを経験的に知っている。オーマイニュースの韓国での成功をブランドとして持ってきたところで、社会構造の違いにはいかんともしがたいものがあるな。本来なら、自民党ヨレヨレ、「朝日新聞社の収益、前年比100億減」なんていう今のご時世ならばこそ、「韓国での成功が日本でも!」と期待できたと思うんだけど。「運営側の欠陥」という意見が目に付くが、やっぱ日本人の国民性という問題のほうが大きいと思う。モチベーションとなる原稿料だって新聞や雑誌に比べれば薄謝で、バナー広告頼みという収益構造しかもてないゆえ、それが未来永劫続くことは多くのネット民たちも知ってるし。
 ちなみに、先日のエントリでちょっと話題にしたALL ABOUTも、生活情報主体で在野ジャーナリストを起用した先行例だが、以前知人に聞いた話だと、ナビゲーターへの月当たりの謝礼は4万円程度だとか(データは数年前だけど、増えてる可能性はないと思われ)。プロならとても割の合わない仕事だが、そもそもALL ABOUTは、自らの研究発表の場として共有財産となるデータベース系ウェブをしこしことノーギャラで更新していた、在野の研究家らに声をかけてアメリカで始まったものだから。参加者にとっても、メジャー企業(リクルート)が発表の場とブランドを用意し、助成金(奨励金)としてわずかでもギャラがもらえればということで、双方のメリットを付け合わせたものだったから、これが高いのか安いのかは人次第であった。ここで目を留めてもらい、ライターとしてデビューした人も多いらしいから、プロのジャーナリストにとっても、プロモーションの場としては、金額に置き換えられないほど効力があるのだろう。
 そう考えると、先のウン万円というギャラ設定もリアリティがある思うのだが、これも人それぞれ。アマチュアの一人としてピュアな気持ちで始めたのに、メディアなどで取材を受けることが増えるうちに調子に乗り、「たったウン万円のギャラでやってやってる」の気分にいつしか入れ替わって、テキトーな内容でお茶を濁したり、なめた原稿を書くようになる御仁も多いらしい。先日もやり玉に挙げた、ALL ABOUTテクノポップの酷い偏向ぶりなんて、まさにその最たる例だと思うけど。他の音楽系ナビの方々の「共有財産としての情報」なんて意識もこれっぽちもないよね。テクノポップ系の「推薦書籍」をわざわざ外したのって、結局拙著を入れたくないための口実なんだろうし(笑)。アスペクトYMOインタビュー本のこの悪い言われよう……。不可抗力じゃん、どんだけ嫌われてるんだ私は(笑)。