『大人の科学別冊 シンセサイザー・クロニクル』、ロジック・システム&アート・オブ・ノイズ復刻など近況報告
- 作者: 大人の科学マガジン編集部
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 2008/07/30
- メディア: ムック
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まず古い順番から、『大人の科学別冊 シンセサイザー・クロニクル』(学習研究社)。電子ブロックの復刻などのユニークな事業展開を行ってきた学研が、「小学生時代に読んだ雑誌『*年の科学』シリーズの付録の感動を今」ということで、「冊子+本格実機」で2000円台というパッケージの定期刊行誌として創刊させたもの。プラネタリウム、ベルリナー式蓄音機、鉱石ラジオ、パンチカード式手回しオルゴールなど、買えば数千円もしそうな実用ホビーを毎回おまけに付ける人気ムックシリーズとして、現在、30〜50代の「科学・学習」世代のハートをわしづかみにしている。なぜそんなに安価で出せるのかと言えば、付属の冊子に広告が入れられるからだが、その冊子もアリバイ的に存在するのではなく、分冊で売られたとしても十分と思えるような読み応えのあるものになっているのが素晴らしい。同業者だから、このような特殊商品の場合、かなりの発行部数を作らなければこの単価で出せないことを知っているのだが、実際の売り上げ部数を聞くととんでもないヒット状況で、30〜50代向けのレトロ市場はけっして小さいものじゃないらしい。シンセサイザーのルーツ的電子楽器、テルミンが付録の号が出たときは、小生を含む回りの元祖宅録少年皆が驚かされた。このテルミンの号がシリーズ中でも特に記録的なヒットとなり、「電子楽器」の路線で続編が作れないかということで生まれたのが、今回の『大人の科学別冊 シンセサイザー・クロニクル』であった。レギュラーの『大人の科学』より高価になったために別冊扱いとなってはいるが、わずか数千円でアナログ・シンセサイザーが1台付いてるっていうんだから感動もの。実は小生、昨年末に東京カルチャーカルチャーでやったイベントの会場で知り合いになった、ミュージシャンELEKTELのpolymoog氏の推薦で編集部に紹介いただき、かなり早い時期からこのムックに関わらせていただいていたのだ。
テルミンは石橋楽器が廉価版を出したこともあったから、雑誌のオマケとして付けるのもさもありなんと思ったが、しかし、「今度はアナログシンセの実機を付けたい」という話を最初に聞いたときには、本当にそれが実現できるのかと、当初は半信半疑であった。「鍵盤を付けると、どうしてもコスト割れするよね?」「MIDIへの対応はどうするの?」などなど、初期段階ではあらゆる可能性が検討されていたわけだが、最終的にトータルコストから部品数を絞り込み、実にアナログシンセらしいロケテスト版があがってきたときには思わず感動したものだ(その顛末は学研『大人の科学』ブログでぜひお読みくだされ)。コントローラー部にリボン・コントローラーを採用したのもなかなかフェティッシュでよいし、LFOの周波数特性をあえてレンジ幅を持たせて、ノイジーなフリーケンシー・モジュレーション系の音が出せるようにしてあるのも、「リボン・コントローラーがついてれば、絶対誰もがキース・エマーソンをやりたがるだろう」という、変態サウンド好きのシンセ小僧への、編集スタッフの深い配慮があってのことである。つまみ一つ、電子パーツ一つ増やすだけでトータルコストが変わってしまう条件下で、大胆にVCAを省略してゲートのオン・オフで代用させてしまうという独創性は、まるで創業時のコルグのよう(笑)。無論、アナログ・シンセサイザーの素晴らしさを世に広めるべく作られたムックであるから、VCO+VCF+VCA+EGというアナログ・シンセの原理を逸脱するのは苦渋の選択というところもあり、最終的には冊子にある「音作りの原理」を学んでもらうために、付録本体とは別に、本来のアナログ・シンセの原理に則したWindows用のヴァーチャル・シンセを無料で提供するという太っ腹な企画も用意された。編集主幹のN氏は小生と同い年で、一通り各メーカーのシンセもいじったというテクノポップ世代ゆえ、細かなニュアンスをふまえた戯れ言さえほとんどの話が通じるという、その編集作業は楽しいものであった。実際に目次を見てみれば、何度もお会いして話をしたほどには貢献できてないのが心苦しいのだが、拙著『電子音楽 in JAPAN』でも取材させていただいたことがある、元TPOの安西史孝氏がレクチャーを務める「シンセ・トリビア」のページの構成などを小生は担当させてもらっている。取材は安西氏の有名なアナログ・シンセ・コレクションの置かれたスタジオで行われ、実際に付録のアナログ・シンセ「SX-150」をモーグIII-Cに接続してラン・テストするなど、なかなか普段見れない貴重な取材となった。元祖エレ・キット少年である安西氏が、本書に啓発を受けて立ち上げた、付録「SX-150」の改造法を紹介したブログもかなり読み応えのあるもので、ぜひ覗いてみてほしい。
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