POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

性懲りもなくまたイベント!「POP2*5ナイト」全3夜 第1回「音で聴く『電子音楽 in JAPAN』、ストライクス・バック」(1月28日)告知


電子音楽in JAPAN

電子音楽in JAPAN



 12月8日の新宿ロフトプラスワンのイベントもなんとか無事終わり、安堵したのもつかのま。のわんと来年早々にも場所を移して、渋谷でトークイベントをやることになった。「調子にのんなー」のキビシイ声も聞こえてきそう(笑)。でも、18年前に日本のクラブ黎明期にDJイベントをさんざんやった自分からすれば、巷のDJイベントみたく、音楽を聴いて踊って終わりというだけなのも忍びなくて。昔はDJと言えばラジオのトークパーソナリティを連想したものだけど、やっぱり《音楽+解説》というのがしっくり来る。教授や鈴木慶一氏らが揃って「CD、レコードなどの複製文化の終焉」を預言し、むしろ実演(ライヴ)に力を入れていることでもわかるように、おそらくライヴのみならず、トークイベントを介して音楽に触れる機会は今以上に増えるんではないか? そんなわけで、できるだけいろんな形でイベントの可能性を模索できたらと欲をかきまして、実験的なシリーズを3回連続でやることになった次第。ことのなりゆきは、11月11日にやった「秋のテクノポップ大感謝祭」を観覧された同所のスタッフの方から、「面白かったのでウチの店で初めてのトークイベントをやってみたい。ついては3回ぐらい連続でやってみないか」と声をかけていただいたというもの。それで内容を急遽詰めて、先日の新宿ロフトでチラシを配布させてもらったわけである。
 場所は渋谷の宇田川交番の裏側にある「渋谷Wasted Time」という、通常はライヴハウスとして運営されているスペース。かつてシュガー・ベイブ竹内まりやが在籍していた事務所アワ・ハウスの元スタッフで、後に武部聡志松本晃彦パール兄弟らを擁した大手インペグ、ハーフトーン・ミュージックを経営されていた方が開いたお店で、かかる音楽もけっこうマニアックなのがウリ(先日ロケハンで伺ったときは、ダニー・ウィルソンのセカンドがかかってた)。スペースはロフトプラスワンの半分ぐらいと小さめだが、普段はアコースティック系のライヴハウスとして運営されている場所なので音響設備もよく、じっくり音楽を聴くにはベストな環境がある。新宿ロフトプラスワンでも定期的にできればこの上ないが、やはり集客のために少しメジャーなキャスティングをしなければならない制約が。当然、音楽よりもトーク多めにしたいところだし。マニア向け音楽イベントのほとんどが阿佐ヶ谷ロフトAに移ってしまい、吉本の人気タレント主催イベントと予約数を競うのもなかなかプレッシャーも強くって(笑)。「POP2*5ナイト」のほうはお店との共同開催ということで、自由にやっていいとのお許しをいただいたので、「BSマンガ夜話」みたいなノリで濃ゆいお客さんと場を共有し、じっくりと音を聴いてもらえるものになるだろうと自負している。
 して、その第1回目のタイトルは「音で聴く『電子音楽 in JAPAN』、ストライクス・バック」。2年前に、約15年ぶりにお台場で開催し、お客さん満杯で終えることができた同内容のイベントのアンコール版。そのホールの音響に難があったことや、場所がお台場とちょっと遠かったことから、いろいろ反省するところがあり、好条件が揃ったらぜひやってみたいと機会を伺っていたもの。昨年、ゲーム音楽で有名な松前公高氏の誘いで大阪でもやってみたところ反応もよく、改めて一部内容をリニューアルして東京でやることになった。拙著『電子音楽 in JAPAN』、『電子音楽 in the (lost) world』で紹介している世界の電子音楽史を、残されたレコード、テープ音源などを聴きながら立体的に辿る試み。テレビ、ラジオなどの同様の特集どれにも負けぬ、濃ゆいコンテンツが揃っているので、もし拙著を読んで電子音楽に興味を持っていただいた読者の方なら、きっと音楽観がガラッと変わるような体験をしてもらえるに違いない。
 内容を詰めるのはこれからだが、各コーナーの構成要素はこんな感じか。

・海外のアーリー・エレクトロニクス〜電子音楽の黎明期
・日本の電子音楽のあけぼの
電子音楽のポップ的応用編、BBCラジオフォニックワークショップと世界のラジオ・ジングル傑作選
大阪万博電子音楽
・アニメ音楽に見る電子音楽的変遷
モーグからフェアライトCMIまで〜電子楽器のデモレコード
・『鉄腕アトム』から『必殺シリーズ』まで、ドラマの効果音レコード
・コマーシャル音楽における電子音楽的試み
 字面でみるとアカデミックでちょっととっつきにくい硬い印象を持たれそうだが、実際に音で聴くとポップそのもの。YMOクラフトワークが登場する10年以上前に、こんなポップなエレクトロ・チューンがたくさんあったのかと驚かれる方も多いはず。
 そして今回は小生がホスト役を務め、第1回のゲストには古い知人である『サウンド&レコーディング・マガジン』編集長、國崎晋氏を招くことになった。日本最大の電子楽器アーカイヴを持つリットー・ミュージックの頭脳にして、イカ天出場経験者(!)。P-MODELファンにとっては兄貴分的存在で、『鉄腕アトム/音の世界』などにライナーを寄稿している業界屈指の電子音楽通である。ご多忙な方ゆえ、ワタシも会うときはいつも用事が優先で、じっくりこの手の話をしたことがないので、とっても楽しみ。おなじみのプロジェクターとPCを使っての、ジャケットやクレジットを大サイズで見ながら音楽を次々と聴いていくメインプログラムに、DVDの副音声よろしく、博学な解説を添えていただく予定である。
 ともあれ、この第1回がなんとか成功しなければ、その先も危ういというわけで。不景気で懐事情のキビシイ折り、イベント連発で恐縮だが、興味を持っていただいた方々には、きっと未知の音楽体験を味わってもらえると思うので、お誘い合わせの上ご来場いただければ幸いである。

POP2*5ナイト(毎月第4木曜日開催)
第1回「音で聴く『電子音楽 in JAPAN』、ストライクス・バック」
開催日:1月28日(木曜日) 
ゲスト:『サウンド&レコーディング・マガジン』國崎晋編集長
場所:渋谷Wasted Timehttp://www.wastedtime.jp
住所:東京都渋谷区宇田川町31-3 第3田中ビル B1F(渋谷駅より徒歩約5分)
電話:03-3461-8383
チケット:予約1500円 当日1800円(ドリンク食事別)
※予約は電話、HPにて受付中