POP2*5

過去にはてなダイヤリーで連載してた連載コラムのアーカイヴです。

11月30日新宿ロフトプラスワン来店特典&ロジック・システム特典到着など「秋の特典祭り」

テクノ歌謡 アルティメット・コレクション1

テクノ歌謡 アルティメット・コレクション1

 いよいよ3週間後には、誕生30周年を記念した「テクノ歌謡」シリーズ第一弾として、ソニー・ミュージックダイレクトからコンピレーションCD『テクノ歌謡アルティメイト・コレクション1』がリリースされることになった。続く11月30日に出る『テクノ歌謡ディスクガイド』(扶桑社)の校了を終えた小生であるが、発売日に開催される新宿ロフトプラスワンの発売記念イベンド「テクノ歌謡復活祭」の仕込みでてんやわんやである。以下、もう一度イベントの詳細を載せておく。


テクノ歌謡」30周年アニバーサリーイベント

イモ欽トリオPerfumeテクノ歌謡復活祭」


1978年に結成されたYMOも今年で30周年。ということは、「テクノ歌謡」30周年でもある。
80年代初頭、沢田研二TOKIO」、イモ欽トリオハイスクールララバイ」のミリオンヒットで幕を開け、派手なコスチューム、未来的なシンセサウンドで80年代を煌びやかに飾った名曲たち。
最初はノベルティだった「テクノ歌謡」も、松田聖子というスターを輩出するほど後世に影響を与えた。
松田聖子をリスペクトする中川翔子、「平成のスターボー」と呼ばれるPerfumeがともに大ブレイク!
初の武道館、紅白出場(か?)と賑やかな話題のPerfumeに便乗して送る「テクノ歌謡復活イベント」。


【場所】
ロフトプラスワン
新宿区歌舞伎町1-14-7林ビルB2
TEL 03-3205-6864


【日程】
2008年11月30日(日曜日)
OPEN18:30/START19:30
前売¥2000/当日¥2300(ともに飲食別)
チケットはロフトプラスワンhttp://www.loft-prj.co.jp/PLUSONE/)店頭にて発売中!


【パネラー】
常盤響(フォトグラファー)
安田理央(アダルト系ライター)
津田大介(ジャーナリスト)
【司会】
田中雄二(扶桑社)……『テクノ歌謡ディスクガイド』担当編集
 で、今回はお客さんに来店特典として「テクノ歌謡復活祭のしおり」なるブックレットを用意することにした。現在、参加パネラーや『テクノ歌謡ディスクガイド』執筆陣に協力いただいて、そこに掲載予定の「テクノ歌謡」大アンケートを行っている最中である。小生のような80sリアルタイム組から、『テクノ歌謡ディスクガイド』の主要執筆陣を構成する小室哲哉ハロプロ世代、20代の当世Perfumeファンまで、複数世代が入り交じった今回のプロジェクト。すでに一部回答が届いているが、同じ「テクノ歌謡」と言っても世代観によって捉え方はさまざまで、そういう意味で今回の「テクノ歌謡」シリーズは、多様な世代にアピールするものになるのではと期待している。
 『テクノ歌謡ディスクガイド』には、タイミングよくというか悪くというか、中田ヤスタカゼロ年代のクリエイター登場を準備した「90年代の重要人物」として、小室哲哉を評価したばるぼら氏の秀逸なコラムもある。件の権利売買詐欺事件はすでにニュースで報じられている通りだと思うが、例えばワイドショーの司会者が彼を悪人に仕立て上げようと振る舞っても、逆に小室哲哉がまわりに利用された構図が浮き彫りになるだけで、改めて「この人は純粋に音楽のことしか考えてないんだなあ」と思うだけ。世論も今回だけは、“バブルの被害者”として小室氏のほうの肩を持ちたくなってしまうところがある(例によって、債権者から狙われているために、身を守るためあえて逮捕された説もある)。TM NETWORKの元メンバーも妻のKEIKOも、今後の彼を案ずるコメントを出しているし、事件発覚当初はネタ的な非難コメントが多かったものの、それが収束すると、ネット世論も意外なほどに同情的な意見が多いようで、小生もホッとしている。以前、某週刊誌で90年代に小室哲哉特集を組んだこともある私。そのころ、彼が残した10年分ぐらいのコメントを資料からかき集めたときも、デビュー時にさんざん辛酸をなめた経験があったためか、当時のバブル状況に対してかなり冷ややかだったのを思い出す。「この芸能界で、好きな音楽をやることがいかに難しいか」……そんなメッセージのようなものを預かったような気がした。今回の事件も主犯の一人とは言え、調べで出てくるのは「音楽のことだけ」しか最後まで考えてなかった小室哲哉の姿である。彼が巻き込まれた運命を、一音楽ファンとして小生はとても他人事とは思えないのだ。
 実は83年、私がまだこの業界に入る直前のことなのだが、公式プロフィールからは抹消されているらしい、TM NETWORKの渋谷東横劇場のデビューライヴというのをたまたま観てるのだ(しょこたんパパこと、中川勝彦とのジョイント)。TM NETWORKのデビュー・アルバム『RAINBOW RAINBOW』の発売記念イベントだったと思うが、初期はもろジェフ・リンというか『タイム』のころのELO(エレクトリック・ライト・オーケストラ)みたいなサウンドで、後のファンク路線など想像もつかないようなブリティッシュ・ポップ的な音作りに敬服していた。よく“エレクトロ・アルフィー”とかも言われてたな。先日たまたま仕事でお会いした『ストレンジ・デイズ』編集長もその会場におられたそうで、やはりELOを神と崇めている雑誌らしく、デビュー時の彼らにかなり注目していたのだそう。編集長も「それがなんでファンク路線に?」という疑問を当時から持っていたと聞いて、ああ私だけじゃないんだなと安心した。その後、路線変更してファンク・サウンドで遅まきのブレイクを果たし、現在のR&Bブームの下地を作ったことを思えば、少なくとも小生らにとっての「好きなタイプの音楽」が、日本ではまったく売れないということがすでに80年代初頭に実証済みだったのかもしれないな……トホホ。後に『Techii』という音楽雑誌の編集者となって、打ち込み音楽が浸透していく時代を追っかけていたころもTMは気になる存在だったし、友人が短期間だが個人マネジャーをやっていたこともあったりして、いつも気がかりであった小室哲哉という存在。いつかほとぼりがさめたら、ここで私なりの小室哲哉観を書いてみたいと思っている。
 ところで、特典といえば件のロジック・システム紙ジャケ復刻3点、または新作『TANSU MATRIX』を購入するとプレゼントされる特典ブックレットがやっと小生の手元にも届いた。元々長いインタビューを無理矢理収めたものだから、文字が小さくて申し訳ない。一見、CDサイズのコンパクトな一冊だが、表紙は銀の特色、中面も写真はカラーという贅沢な仕上がり。アスペクトから出ているYMO3人のインタビュー集『イエロー・マジック・オーケストラ』で取り上げられたのと同じ80年代初頭のアザー・サイドにスポットを当てたような側面もあるので、ぜひ同書をお持ちの方は、なんとかして手に入れてお読みいただきたい。ちなみに、すでに入手済みの方はお気づきのことと思うが、ブックレット巻末に書いてあるとおり「アレ」が同社で初CD化される。カセットでしか出てなかった作品なので未聴の人が大半だろう。松武秀樹氏が残したロジック・システム関連の音源の中でも、The KLFChill Out』の登場を予見していた(笑)貴重な作品だと思うので、これは騙されたと思ってぜひ聴いてみてほしい。私もまたコレのCD化を切望していた一人で、今回初めて聴く方にとっても、意外なパワープレイ盤になるのではと期待している。

紙ジャケット復刻版に収録されたインタビューの再録。これでも文字が小さいのに、CDのインナーのほうはもっと小さいので年寄りにはありがたい。

ロジック・システム以前に松武氏が関わったシンセサイザー企画盤をほぼ網羅したディスコグラフィ。『電子音楽 in the (lost)world』に載ってないのも掲載。


 最後にもう一ネタ。先日のエントリで「テクノ歌謡」に絡めた「萌え声」について書いてみたのだが、サード・イアからのアート・オブ・ノイズの復刻盤が到着して、ブックレットを読んで思い出したことが一つあった。日本でもちょうど先週、イギリスのチャールズ皇太子と現夫人のカミラ・パーカー・ボウルズが密かに来日していたのは、一部マスコミで報じられていたのでご存じの方も多いと思う。実は、アート・オブ・ノイズの「Close (To The Edit)」で有名な「Hey!」という掛け声や、『誰がアート・オブ・ノイズを…』収録の「Who’s Afraid (Of The Art Of Noise)」に出てくる「Can I Say Something?」という台詞は、チャールズと結婚前のカミラの声なのだ。これ、アート・オブ・ノイズのメンバー、JJ・ジャクザリクの当時付き合っていた彼女がカミラの学友だった縁から、ヴォイス・サンプル収録のためにスタジオに来てもらって収録したものらしい。SACDのみでリリースされた再結成時のライヴ盤『リコンストラクテッド』(今回初CD化)に入っている「beat box incorporating close to the edit」のイントロ部分に、そのソースとなった音源が長めに収録されているんだけど、ミス・クイーンズ・イングリッシュの誉れ高い彼女のハイトーンの声も、かなり萌え度の高い声なんだよね。
 ちょうど『サウンド&レコーディング・マガジン』の今月号にアート・オブ・ノイズ特集が載っていて、付録のCDに、拙著『電子音楽 in the (lost)world』でも紹介しているJJジャクザリクが出したアート・オブ・ノイズのサンプル集CD『The Art Of Sampling』が贅沢にも抜粋収録されているらしい。カミラ夫人の声はイギリス人なら誰でも知っている有名なもので、YouTubeなどで探せばたくさん見つかるから、君もフリーのDTMソフトと『サンレコ』の付録を使って、アート・オブ・ノイズごっこを楽しんでみてくだされ(なんちて)。

神よ、私の身体に何を・・・

神よ、私の身体に何を・・・

PS.
mgkillerさん、ポイント送付ありがとうございました。
お礼の仕方がわからないので、ここでご挨拶させていただきます。